高垣智さん(慶応大学卒) 2006年、2007年参加

私はアカデミー以前から、技術で感心させるだけでなく優しく心を温めてくれるようなアンリ氏の音楽に、心底感動を受けていました。そんな中、彼が主宰するアカデミーが開催される(しかも日本で!)ということを知り、私には参加しない理由などありませんでした。
2006年のアカデミー1日目が終わるころには、私はすでに新たな感動を受けてしまいました。レッスンを通して、彼の人間性こそがあの音楽を生み出しているということに、はっきりと気づかされたのです。優しさ、洞察力、論理性、勇気、忍耐力、ユーモア、教育力・・・、彼は様々なものを持ちあわせていることがすぐにわかりました。そして、アンリ氏はどんな生徒に対しても決して妥協せず、しかも生徒に応じて柔軟な方法で指導し、例外なく生徒が変化していく・・・、演奏家としてだけでなく、教育者としてのアンリ氏に、私は再び感動しました。
5日間を通して学んだことは数え切れません。アンリ氏は、朝最初の1音を出すことから始まり、ウォーミングアップ、基礎、個々の曲に対するアプローチの仕方、さらには音楽家としての心構えまで、自身の考え方を余すところなく詳細に伝え、しかも常に実演しながら私たちに指導してくれました。それは、世界的トッププレイヤーがここまでしてくれるのか、と驚くほどでした。
彼は、なぜ自分自身が楽に美しく演奏できるのか、その理由であるからだの使い方を明確に自覚していて、適切な言葉でそれを伝えてくれました。必死にとったメモは、ノート10数ページにも及びました。それほど、彼にとっては当たり前でも私たちにとってはまだ当たり前になっていない奏法上の考え方が、多かったのです。
さらに、この年の特別講義「コンクールへの心構え」は、非常に貴重な財産となりました。ジュネーヴ国際コンクール優勝者である彼が、コンクール出場を決意することからステージで演奏を終えるまでの全てのプロセスにおける心構えや練習計画法を、惜しげもなく語り聞かせてくれました。
2007年のアカデミーでは、特別講師に眞々田昭司氏を迎え、呼吸や姿勢、からだの使い方について深く学ぶことができ、前年以上の学びがあったことは言うまでもありません。
アンリ氏は、私たちに必要なことが何なのかを明確に知っていて、それを実現するための指導と環境を、このアカデミーに用意してくれていました。決して1回ごとのレッスンではつかむことのできないものが、アカデミーでは体験できました(アンリ氏のコンサートやバーベキューなどの楽しみも!)。アンリ氏の人柄やスタッフの皆様の親しみ易さからか、真剣でありながらもアットホームな雰囲気であったアカデミーの5日間は、私にとって1年の中で最も充実した時間と言っても過言ではないほどでした。次回ももちろん参加したいと思います!
